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底の抜けたバケツのような。

 昨日見たテレビの話。某公共放送の深夜にやってたやつで、色んな経歴や経験を持った人にインタビューするという内容。

 今回のテーマは「キラキラ女子アカウントの中の人」で、要は嘘の経歴、嘘の自分をネット上で演出するためにこういう努力をしてます~って話なんだけど、そこに共感もするし呆れもした。

 ツイッター上の設定では港区のOLで彼氏の他に大手広告代理店の遊び相手がいて、でも実際は大阪の周りが田んぼだらけの田舎に住んでる年収250万の事務員、って言ってたな。演出するためだけに東京に来て無料で綺麗な写真の撮れるスポットやおしゃれなご飯のあるカフェで写真を撮りだめしたり、ネット上で拾ったホテルの写真に近所のカフェのご飯を組み合わせてコラージュしたり、色んなノウハウがあるみたいで、それを考えつくことに感心したんだけどやっぱり話を聞いていると病的で、それがまたちょっと個人的には魅力だった。

 承認欲求、なんて手垢のついた言葉を使うまでもなく、人から憧れられたい欲望なんて少なからずみんなあると思うけれど、「本当の自分ではない自分」への憧れで満たされるのかどうかは人によるんだろうなあ。俺はそれでは多分満足できない。多分それは「自分の価値」に未練があるからなんだと思う。

 この中の人に司会者が「リアルな生活を向上させようと思わないの?」って聞いたときの回答が「う~ん…もう諦めかけてますね」「身の程を知ってしまったというか」というような内容で、ああ、だからこそ割り切って架空の自分を作り上げられるんだろうなって。ロールプレイングで遊んで満たされるならその方がいいのかもしれない。

 でも、ここまで極端な例じゃなくても架空の自分であっても承認されたい人は実はたくさんいるはずで。この番組を見て頭に浮かんだのが自撮りなんだけど。お手軽に加工してグレードアップした自分を褒めてもらって、それで満足できるなら偽装キラキラの一歩手前だよなって。現実には得られない快感を知ってしまったらやめられないよな。俺がそれをしないのはさっきの「本当の自分への価値」の問題じゃなく、単に男がそれをやるのは気持ち悪いっていう前時代的な価値観のせいなので…

 みんながみんな偽装して、自分が自分の手を離れていくってまるで俺が好きなサイバー系のディストピアみたいですごく面白いのだけど、こういう番組が面白がられるうちはまだまだその段階ではないってことだろうね。